無愛想で糖度高めなカレの愛
私達が雑談に逸れてしまっていると、室長が「そろそろいいですかねぇ」と和やかな声を掛けた。
試食タイムを終わらせ、次は意見を出し合う時間。室長に代わり、夕浬くんが今回の試作品についてもう一度おさらいするように話し出す。
「このピュアチョコレートは前回の改善点をふまえて、カカオマスとココアバターのみを使用し、カカオ成分四十八パーセントという贅沢な仕様にしました。植物油脂などの余分なものは一切使用せず……」
表情筋をぴくりとも動かさず、淡々と語る彼を、私は胸の小さな高鳴りを感じながら見つめる。美結ちゃんが言う通り、今の私の瞳はとろけているのかもしれない。
夕浬くんの家にお泊まりしたあの日から早くも十日が経つけれど、私はどうしても彼を意識してしまう。
しかし、仕事中の彼は相変わらず無愛想で、私に恋心を抱いているような素振りはこれっぽっちも見せない。
完璧に割り切っていられるのはすごいと思うけれど、少し物足りなさというか、寂しい気持ちもある。
付き合ってもいないくせにこんなふうに思うなんて、私って自己中……。
「……なんですが、間宮さんはいかがでしょうか?」
頬杖をついてぼうっとしていると、目線の先に今考えていた相手の顔が突然映り込んだ。
試食タイムを終わらせ、次は意見を出し合う時間。室長に代わり、夕浬くんが今回の試作品についてもう一度おさらいするように話し出す。
「このピュアチョコレートは前回の改善点をふまえて、カカオマスとココアバターのみを使用し、カカオ成分四十八パーセントという贅沢な仕様にしました。植物油脂などの余分なものは一切使用せず……」
表情筋をぴくりとも動かさず、淡々と語る彼を、私は胸の小さな高鳴りを感じながら見つめる。美結ちゃんが言う通り、今の私の瞳はとろけているのかもしれない。
夕浬くんの家にお泊まりしたあの日から早くも十日が経つけれど、私はどうしても彼を意識してしまう。
しかし、仕事中の彼は相変わらず無愛想で、私に恋心を抱いているような素振りはこれっぽっちも見せない。
完璧に割り切っていられるのはすごいと思うけれど、少し物足りなさというか、寂しい気持ちもある。
付き合ってもいないくせにこんなふうに思うなんて、私って自己中……。
「……なんですが、間宮さんはいかがでしょうか?」
頬杖をついてぼうっとしていると、目線の先に今考えていた相手の顔が突然映り込んだ。