月下美人の咲く夜を
大学を卒業すると同時に、俺たちは同棲を始めた。
それは付き合いだしてから1年が過ぎた頃のことで、
朝目覚めると必ず隣にその温もりがあることや、
ふたりでキッチンに並んで、どっちが米を研いでどっちが野菜の皮をむくかじゃんけんで決めること、
ソファで並んでドラマを観ながら、ひと缶のビールを分けあって飲むこと、
休日にはダラダラしながら気の向くまま抱き合うこと、
それら全てが楽しくて幸せだった。
お互いの仕事の話をしたり、
時には失敗を励ましあったり、
ごくたまにはケンカもしたけど、
お互いを深く知っていく度に、
恋しい気持ちは確実に愛しさに変わっていったんだ。