月下美人の咲く夜を

ポツリポツリと……、フロントガラスに当たり始めた雨粒に気づきはっと我に返る。

「……………。」

こんな風に過去にとらわれて思考停止するのは日常茶飯事だ。

しがみつくようにぎゅっとハンドルを握りしめ車を発進させると…、


『帰ろ、月人。』


胸の奥深くで、いつかの咲月の声が優しく響いた気がした。


天真爛漫な笑顔がすぐに浮かぶ声が。


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