月下美人の咲く夜を
いつものようにそっと葉を撫でる。
『あの子を大切に育てて』
咲月がそう願った通りに、この1年半この鉢を育て続けた。
「…………………。」
傍にあるピンク色のノートを手に取りパラパラとめくると、そこに並ぶのは咲月の字だ。
彼女が毎日せっせとつけていた月下美人の日記。
葉がどれだけ増えたとか、茎が太くなったとか、花屋のお姉さんに聞いたこととか、ホントによく書き込まれてる。
日付は………あの日で止まったままだ。