月下美人の咲く夜を

「…じゃ、お先に戻ります。」

「…おい。」

短くなったタバコを灰皿に押し付け仕事に戻ろうとすると声がかかった。

何を言いたいのかくらい察しがつく。

「……大丈夫ですよ。

ちゃんと生きてるし、働いてるし、健康です。」

「………そうだな、見た目は。

俺が心配なのは…」

「そろそろ予定の時間なので。

…じゃ、失礼します。」

「……。」

店長は明らかにまだ何か言いたそうだったけど、これ以上は話を続ける気になれなくて…気づかないフリをしてその場を去った。


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