月下美人の咲く夜を

「ただいま、咲月。」

膨らみをたたえる蕾を、今日も指先でそっと撫でる。

これが咲いたら咲月に会えるなんて思ってないけど…

せめてその姿を、彼女の代わりに一目見たいんだ。

そしたら、花が咲くように笑う彼女に会える気がするから。


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