月下美人の咲く夜を
タクシーを降りアパートの階段を上る。
『なぁ、どれだけあの子に惚れてたかは十分わかってる…けどな。』
頭に何度も響くのはさっき言われた言葉だ。
店長はゆっくりと低い声で、でもハッキリと俺の目を見て言ったんだ。
『お前がそんなに今でも苦しんでたら、お前を残して逝かなきゃならなかったあの子は…
もっと苦しいんじゃないのか。
前を向け。
忘れなくていいからせめて一歩踏み出せ。』
メニュー