月下美人の咲く夜を
Ⅶ
絡みつく咲月の頬を撫で、顔を上げてキスを落とす。
これで最後なら、最高に気持ちいい、最高に幸せな時間を彼女に。
それが、残された時間に俺にしてやれる全てだった。
「…つ…き………と。」
キスの合間に零れる俺の名前は、小さく震えていた。
「……っ。あ……っ!」
触れるたび反応を示す素肌は、月明かりの下で神々しくもあった。
甘く歯を立て、
深く突き上げ、
激しく啼かせて。
時間の許す限り彼女を抱いた。
潤む瞳から何度も流れる涙を何度もキスで掬って、
「笑って。」
そう囁いた。