シーソーゲーム
出会いと、今想う人
 「あっ、ごめん。」
とっさに言われた言葉だった。
言われても何も感じなかった。
・・・っていうか、当たり前のことだと思ってた。

 「えっ!?あの朝輝が謝った!?」
 「えっ、うん。なんかさ、すれちがった時、肩が少しぶつかって・・・。」
 「それだけ!?」
 「うん、それだけ。」 
中学生になったばかりの私はまだ、もともと違う学校だった男子を知らない。
 「あの朝輝がね~・・・。アイツめったに謝らないよ?お礼もあんま言わないし。」
 「へえ~。でも私ちがう学校だったし。言わなきゃいけないとか思ったんじゃない?」
 「そうかな?」
きっとそう。
あまり親しみがない人って、妙に気をつかっちゃうし。
私だってそうだもん・・・。
みんな同じこと思ってるんだよ、きっと。
でも、千堂朝輝・・・。
髪立ってたっけ。
そういえば、あの人の目きれいだったな~・・・。
なんか自信に満ちたような・・・、吸い込まれるような・・・。
私はそんなことを考えながら千堂を見ていた。
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