ぼくらのストロベリーフィールズ






「んー」



今日もいないか……。


次の日も、その次の日も、朝と夕方にA組をのぞいてみたが、一吾くんらしき人はいなかった。



しかも、めんどくさいことに……


「ねーねー毎日このクラス来てるけど、誰か探してるのー?」

と、チャラそうなA組男子に絡まれるようになってしまった。


中途半端に盛った髪型で、調子に乗っている感じの苦手なタイプ。



「何組? とりあえずライン交換しよー」


嫌がっている表情を私はしているはずなのに、そいつは構わずぐいぐい近づいてきた。



うわ。ダルッ……。



とりあえず、この場を離れようと、


「あ、あははは。何でもないっす。私、そろそろ行かなきゃ」


と、言って自分のクラスに戻ろうとしたが、

ニヤっと笑ったそのチャラ男に腕をつかまれてしまう。



「逃げないでよ~、ちょっとお話しようよ~」



うざー。校内でナンパかよ!



「ちょっと、離して……」


「あれ。もしかして照れてるー?」


「は? 普通に違うし!」



イラッとして大声を出してしまった、

その時――



「あのさー。その子、俺に会いにきたはずなんだけど」



後ろから聞こえたのは、知らない男子の声だった。



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