ぼくらのストロベリーフィールズ



「腹いっぱい。疲れた」



食べ終わったと同時に、一吾くんは後ろにごろんと寝転がった。


食べて寝たら太るっていうけど、彼はもうちょっと肉があってもいい気がしたため、注意はしないでおいた。



「バイト、大変?」


「んー。疲れる」


「一吾くんも『いらっしゃいませ~』とか言うんだねー。見てみたいんだけど」


「無理。てか、おれキッチンだし」



見た目や生活態度は不良なのに、一吾くんはちゃんと働いているんだなぁ。


まだ私と同じ高1なのに。


自分で働いて生活費を稼いでいる彼がすごいと思った。



さっき見た、華やかな彼のお母さんの姿をふと思い出す。



学費はお母さんが払っているらしいけど、生活費までもらうのは難しいのかな。


高そうな服やバッグ、遠い街からのタクシーなど、お金はありそうなのに。



聞きたいことはいろいろある。


でも色々と事情がありそうだし、今はあまり触れない方がよさそうだ。



「バイトお疲れさま。実はデザートあるよー」



そう声をかけてみたけど。



「……すーすー」



うわ、もう寝ちゃったみたいだ。


せっかくイチゴムースを1個、買ってきんだけどなぁ。



今日が賞味期限の半額品だし、私が食べちゃおう。




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