ぼくらのストロベリーフィールズ



一吾くんの静かな寝息をBGMに

ムースに乗っかった真っ赤なイチゴをぱくっと口に入れた。



「おいしい~」



口の中に甘味が広がっていく、と同時に。


一吾くんが、がばっと起きた。



「わ、びっくりした」


「それ……」


「デザートだよ。上のイチゴ食べちゃったけど……」



半分体勢を起こしたままの一吾くん。



その目は、私が手にしたカップをぼんやりと見つめた後、

鋭く私に向けられた。



「…………」



ひー怖い怖い!


超にらまれてるんですけど、私!



この前彼がスーパーで眺めていたやつだし、やっぱり食べたかったのかも。



「ごめん、寝ちゃったと思って! ムースの部分だけでも食べる?」



慌てて、彼のもとへ駆け寄っても、


「いらない」


と低い声で言われてしまう。



明らかにいじけている口調に、可愛いらしさを感じた。


やっぱりイチゴ食べたかったんじゃないの?




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