ぼくらのストロベリーフィールズ
何が何だか分からなくて、固まっていると。
その男子に肩に手を置かれ、
「とりあえず、そういうことにしといて」
と耳元で囁かれる。
ひっ、近いんですけど……!
「そうそうそう! 私この人に会いに来たんです!」
ドキドキと鼓動が早まってしまたことと、早くチャラ男を追い払いたいことから、
必死で私は首を縦に振った。
「ちぇ、尚紀のオンナかよー。じゃーしょーがねーわ」
チャラ男は私の腕をすっと離し、教室に戻っていった。
えーと。
尚紀、くん?
……あ。ナズちゃんがカッコ良いって噂していたような。
確かに相当なイケメンだし、悪そうなオーラもあるし、かなりモテそう。
「あのさ、菜月のばらちゃんでしょ?」
ざわつくまわりの生徒たちを気にも止めない様子で、
その尚紀くんという人は、私に話しかけてきた。