ぼくらのストロベリーフィールズ
ある日、部活をサボって准クンと帰ろうとすると、
なぜか生意気そうと言われ、3年生の軍団に呼びとめられた。
あいつらクソだから気をつけろよ、とゆーたさんが言っていた奴らだった。
准クンと軽く逃げたものの、人気のない校舎裏にて捕まってしまう。
『おれ貧乏なんすけど』
そう言って僕はラジオ体操第一のようなジャンプを繰り返した。
『僕もお金持ってないっすよぉ』
ダボダボの制服を揺らしながら、准クンもぴょんぴょんと飛び跳ねた。
かすかに聞こえる体育館方面からの声や音の他には今、
2人分の着地音と制服がこすれる音しかしない。
僕は本当にお金を持っていないし、准クンも何らかの対策をしているんだろう。
しかし、微妙にきまっていない髪色の3年が、
『ああん? おんめぇアニキがなんたら付属だろーが。ぼっちゃんはたっぷりお小遣いもらってんじゃないっすかぁ?』
と言って准クンに詰め寄った。
僕は知っている。
准クンの家での、お兄さんに対するえこひいき具合を。
『……ちっ』
『うわぁー今聞いたー? こいつ舌打ちしたよぉー! 1年のくせにマジありえねー!』
准クンは口元だけで音を出しただけなのに、どうやら目の前の奴に聞こえてしまったらしい。