ぼくらのストロベリーフィールズ
僕は、准クンに突っかかってきた3年のパンチをかわした後、
みぞおちに一発入れて、よろけた瞬間に追い打ちで頭突きをかました。
うわ、やっちゃった、と思いつつも、
准クンを守るためにも他の3年の相手もする。
そうしている間に、見慣れた金髪男が『っしゃこらぁぁ!』と後ろからダッシュで僕を追い越し、どかーんと飛び蹴りで1人を倒していた。
『ゆーたてめぇ、しゃしゃってくんじゃねー!』
と残り1人が凄んできたが、リーさんが横から足をかけ、その男はすてーんと転んだ。
その上にゆーたさんが乗り、足をぱっぱと折り曲げロックし『はいしゅーりょー!』と叫ぶ。
そいつは苦しそうに『ぎゃーー痛い折れる折れる!』と叫び、地面を何度も叩きながら降参した。
『あーあー、まだ1年なのに派手に暴れちゃってー。一吾ちゃん強すぎだしぃ~』
そう言ってリーさんは前髪のピンをとめなおした後、タバコに火をつけた。
『やっぱおめーらバカだよなー。てか准ちゃんももっと強くなんなきゃダメだべや』
ゆーたさんもタバコをポケットから出し、僕たちにも分けてくれた。
この頃にはすでに煙を肺に入れることを覚えていたため、ぷかーっと煙を吐くと、うわ生意気とリーさんに肩をすくめられた。
それから『この後達也さん家行くけど、お前らも来る?』と誘われた。
達也さんの家に行く途中、
『よかった~。ゆーたさんたち放課後はあの3階のトイレでタバコ吸ってるから』
と、ガムテープに貼られた小銭をはがしながら准クンがつぶやいた。
あー、だからわざわざあそこまで逃げて、大声を出したのか。
面白くて僕は准クンの背中をばしりと叩いた。
あいた~! という情けない声が、灰色の空の下によく響いた。