ぼくらのストロベリーフィールズ
ある日授業をサボって、
達也さんの家にたまり、ダラダラと桃鉄をしていた時。
『あんたらはまだ義務教育中でしょーが!』
達也ママがどかどかと部屋に入ってきた。
『痛っ!』『いてぇ』『あいた!』『痛いっす……』
高級ブランドのロゴがどかーんと入った長財布で、僕たちは順番に叩かれた。
そして。
『あんたもね! バイク欲しいとかぶつぶつ言ってないで、とっとと自分で稼ぎな! そんなんじゃユメナちゃんに愛想つかされるよ!』
『あいたたた。わーってるって』
達也さんは思いっきりほっぺたをつねられていた。
相変わらず、達也さんのお母さんは強い……。
コントローラーを回しながら、
『達也さんバイク買うんっすか?』
『まー。ちょっと先輩が安くゆずってくれることになって』
『族車っすか? 改造するんすか?』
『うわ、キングボンビー出たぁ!』
などと、わいわいしている中、
もう一度、僕だけ長財布でぽんと叩かれた。
クラブのママさんをしている達也さんのお母さんは、
店同士のつながりで僕の母を知っているらしい。
『一吾くんだっけ? あんたの母さんの男、いい噂聞かないから注意しておくんだよ』
そう言って、達也さんママは僕に心配そうな顔を向けた後、香水の匂いを残して部屋から出ていった。