ぼくらのストロベリーフィールズ



『一吾くん!』



祈る気持ちでメッセージを送る。



すぐ既読がついた。


安心で目頭が熱くなった。



『助けて!』


と再びメッセージを送った瞬間。



懐中電灯らしきライトが階段に向けられたのか、

開けた扉の外に、かすかな光が揺らめいた。



私はそれに驚き、足裏に体重をかけてしまった。



――みしっ。



自分の息や鼓動しか聞こえない静寂の中、大きく床がきしむ。



どくん、どくん、どくん。



体を動かせないままでいると、光は流れ、再び階段は暗闇に戻った。


耳をこらしても、階段をのぼる音はしない。



――良かった。気づかれなかった!



しかし、再び階段にライトが向けられたようで、踊り場の形にそっていびつな光が大きな円を描いた。



一歩、一歩、ゆっくりとした足音が近づいてきた。



それは階段がきしむ音に変わる。


光も踊り場の壁から2階の廊下の天井へ流れるように移動した。



いや、これは夢だ!


目をつぶって気が付いたら朝になっているはず。



そう思い必死で目を閉じたが、


げほん、という父のものではないトーンの咳払いが聞こえた。



やっぱり夢じゃない! 空き巣が家に入ってきているんだ!



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