ぼくらのストロベリーフィールズ
体がガタガタと震えだす。
その時、スマホが軽く振動した。
必死で握りしめているため、音は響かなかった。
『今どーなってんの?』
一吾くんからのメッセージ。
私は急いで『誰かが家の中にいる』と送り返す。
一段、一段、気配がどんどん近づいてくる。
もうダメかもしれない。
もういっそ2階から飛び降りるしか……。
『家の鍵、窓から外に投げて』
え……どういうこと――!?
ベッド横に置いていた家の鍵を手にして、さっき開けた窓の下をのぞきこむ。
そこには街灯にゆるく照らされた、彼の姿があった。
パーカーのフードを取り、無表情のままだらっと手をあげる。
かなりの緊急事態なのに、いつも通りの様子。
安心のあまり、ぽろりとあふれた涙とともに、私は鍵を手放した。