ぼくらのストロベリーフィールズ
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中2のはじめごろ。
同じ地域内の1軒屋に引っ越しをした。
僕の家は1階が母の店になり、2階が居住スペースになった。
母と僕、そして母の彼氏との3人暮らし。
毎晩、1階から母や常連客が話している声や、カラオケ音と下手くそな歌が僕の部屋まで響いてきた。
おかげで昼は学校で寝て、夜には准クンや先輩たちと遊びに出るしかなかった。
『なー今日産業道路の方で達也さんも走るらしいし、見にいかね?』
『結構遠いじゃないっすかぁ。俺らチャリっすよ~』
『ぎゃはは! おもしれーべ? チャリで爆走すっぺ~』
ゆーたさんとリーさんは、無事高校生になった。
リーさんは超モテモテで、ゆーたさんはバンドを始めたらしく、前よりも会える機会は減ったけど、
時々僕たちを遊びに誘ったり、絡んだりしてくれた。
『一吾ちゃーん、もっと早くこげって~』
『無理っすよ。タイヤつぶれる』
『だーいじょーぶ! ほれ筋トレ、筋トレ!』
と体育会系風なやり取りをしている僕とゆーたさんに対して。
『准クン、重いよね。降りよっか?』
『大丈夫っすよ。お前を乗せて登りきるって決めたんだっ』
『そんなのずるいっ。お荷物だけなんて嫌よ。でもお言葉に甘えるわ』
と准クンとリーさんは何かの映画で見たようなやり取りをしていた。
そのせいで、『ぎゃはは! おめーら勝手に朝日でも見に行って結婚の約束でもしてろよ!』
とゆーたさんが爆笑しだして僕のママチャリは上下に揺れた。
リーさんは日本のアニメが大好きらしい。
がたがたと自転車を揺らしているうちに、住宅街を抜け広い道路に入った。
遠くから無数のエンジン音が響いてきた。
道路に沿って並ぶ工場の灯りが綺麗で、
繁華街の汚い夜景とは違い、ゲームに出てくるピカピカした敵の要塞のように見えた。