ぼくらのストロベリーフィールズ
「バイトって何のー?」
「えーと、飲食系?」
ナズちゃんは一吾くんが居酒屋でバイトしていることを知っている。
問い詰められた私は、思わず答えをぼかしてしまった。
それは彼女にさらなる好奇心を引き出させたようで。
「まじ? じゃあ今日みんなでそこ行こうー! ファミレス? カフェ?」
と更に深堀りされてしまう。
おもしろそー! いいね! と友達2人も盛り上がってしまった。
やばい。バイト先の居酒屋は、女子高生がふらっと来るようなとこじゃない。
私は中学の頃を思い出していた。
格好良すぎて付き合えるわけないと思っていた先輩が彼氏になって。
あの先輩のこと全然知らない~って言っていたくせに。
やっぱり顔じゃん?
しかももうやったらしいよー。軽すぎー。
などと陰口を言われたり、友達にハブられたりしたこと。
そうだ、私はいざという時に女子の友達に相談しないままで突っ走っていた。
ナズちゃんは一吾くん狙いだ。
私は今、一吾くんとバイトが一緒、かつ、家に泊まりに行く関係。
泊まりのことは親公認だけどさすがに内緒。
でも、同じバイトなのはやましいことではない。
少しずつ、ナズちゃんに事情を理解してもらった方がいいかもしれない。