ぼくらのストロベリーフィールズ
「のばらちゃーん、体育行こ~」
「あ、うん!」
それから特に変わりのない日々が続いた。
ボロボロの教科書のことが、まるで何もなかったかのように。
他の一吾くんファンや尚紀くんファンが嫌がらせでやったのかも。
「あははは! それ超ウケるー!」
「うっそ、ありえなくないー?」
更衣室で話が盛り上がり、爆笑しだす私たち。
他の女子たちはうるさいのか、いぶかしそうな目で私たちを見ていた。
「おかしーよね、それ……痛っ!」
笑いすぎてふらついたナズちゃんに、誰かがぶつかったようだ。
「ご、ごめんなさいっ!」
「痛ーい。びっくりしたぁ。まじ気を付けてよー」
ぶつかったのは大人しいタイプの女子。
急に不機嫌になったナズちゃんに明らかにビビっている。
その子は何度もごめんなさいと謝った後、ダッシュでこの場を去った。
「まあまあ、ほらほら、うちらも騒ぎすぎちゃった感じじゃん?」
まだ着替え中の女子たちの注目を浴びている状態。
私は慌ててこの場をおさめようとした。
するとナズちゃんの視線は私に向けられる。
「やっぱのばらちゃんって、どっかうちらと一線おいてるでしょ~。私はあんたらと違う、みたいなー?」
「そんなことないって! あ、そろそろ授業始まるよ!」
そう言うと、やばーい、行かなきゃ、といつもの友達2人が更衣室を出ていった。