ぼくらのストロベリーフィールズ
落ち着かない気持ちのまま、午前の授業を終える。
休み時間ごとにA組前を通りかかったけど、いつもと変わった様子はなかった。
「のばらちゃん、今日変じゃない? そわそわしてるっていうかー」
「え。あ、ほら今日私、出席番号の日だから当てられないかビビってて」
入学式から、1週間以上たってからの初登校。
来たらすぐ噂になると思うんだけど……。
「この前、あの先輩と帰りバス一緒になって。超やばかった!」
「それバスの中の空気、全部吸い尽くしたやつでしょ」
「あはは! まじキモいって」
仲良くなった女子たちと、教室でお昼ごはんを食べ始めた。
頭の中は一吾くんのことでいっぱいだったけど。
「ちなみにナズちゃんはお気に入り見つけた?」
「んー。あたしは今のとこ尚紀くんくらいかな〜。のばらちゃんは?」
「私? えーと。……あっ!?」
話題に入ろうとした瞬間。
制服ポケットに入れておいたスマホが振動した。
『一吾やっと来たよー( ^ω^ )』
尚紀くんからのラインだった。
「ごめ、ちょっとトイレ!」
変に怪しまれないよう言い訳をしながら、私は教室を飛び出した。