ぼくらのストロベリーフィールズ


帰りに後ろで寝られないように、と言って、達也さんは缶コーヒーをおごってくれた。



口にすると冷たさと苦さが流れながら染み込んでいった。


舌から喉、そして体内へ。



『最近、全部どーでもいいって思ってましたけど、今日すげー楽しかったです』


と、僕は隣で同じく缶コーヒーを飲む達也さんに伝えた。



『ぎゃははは! どーしたクソガキ。年取ったか?』


『今日で寿命何年か縮みましたよ』



達也さんに笑顔のままでゴスッと足を蹴られ、


痛いっす、と口にした時。



引きずるような足音と、カン、カン、と地面に何かが叩きつけられる音が近づいてきた。



『……一吾ちゃん、さっき言ったこといったん全部チャラね』


『はい』



ぐびっとコーヒーを飲み終えた僕たち。


達也さんは顔バレしないようにとバイクのシート下から黒バンダナを取り出し、僕に渡してくれた。



口元を隠すようにそれを巻き、後頭部で結び目を作りながら、


『てか、達也さんの方が顔隠さないとやばくないっすか? 別エリアの族所属してるし』と伝える。



彼は、あ……そうだった、やっべ! と言いながら、慌ててズボンとパーカーのポケットを探りだした。



『お、よさげなの入ってた!』



そう言って、達也さんが勢いよく手にしたのは……。



『あ……』『あ……』



女もののパンツだった。


しかもサイドがひものやつ。



洗濯の時にユメナさんのそれがポケットに紛れ込んでしまったのだろうか。



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