ぼくらのストロベリーフィールズ







ナズちゃんの件があってから、教室にいる時間が苦痛になった。



「うちら今日駅前のカフェ行くんだけど~。あ、でものばらちゃんは今日バイトだよね~?」



サンドイッチを手にしたナズちゃんはいつもと変わらない口調。


暗に来るなと命令しているような彼女の言葉は、私を嫌な気分にさせた。


今日はバイト休みなのに……。



「しょーがないよ。のばらちゃん忙しいから」


「それよりあそこの新しいケーキ、マジ美味しそうだしー!」



そんな会話を耳にしながらクラスを見渡す。



私たちと同じようにグループで食べている人もいれば、机をくっつけているカップルや、学食から戻ってくる男女たちもいる。



もう梅雨に入ろうとしている時期。


クラスメイトはみんなグループを完成させたようで、ここから抜け出すと私は孤立する。



どうして中学時代と同じ状態になりかけているのだろう。



暗い気持ちのまま、ゴミ箱に向かおうと席を立つ。


その時だった。



「キャッ!」



何かが足にひっかかる。


驚く間もなく、私はどさりと机と机の間に倒れていた。



がやがやとクラスが騒がしくなり、たくさんの目線が私に向けられた。


シャツ越しに床にこすりつけた肘がじんじんと痛んだ。



「キャー、のばらちゃん大丈夫~?」



上からナズちゃんの心配そうな声が降ってきた。


足かけた本人のくせに……。



悔しくて、「うん、いきなりコケてごめんっ。ちょっとすりむいちゃったし保健室行ってくるね!」


と逆に笑顔を向けておいた。



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