ぼくらのストロベリーフィールズ
「一吾くん、痛いって」
彼の様子に怖さを感じ、私は手を振りほどいた。
保健室の手前、被服室前の廊下は誰もいなかった。
「なにこれ」
構わず一吾くんは私の肘と膝を交互に指さした。
「あ、ちょっと転んじゃって……」
「ふーん」
「それだけだから……」
ぐっと奥歯をかみしめる。
一吾くんの顔を見ることができなかった。
「じゃあ肩のアザは?」
「え?」
「ここ、あんじゃん」
そう言って、一吾くんは私の左肩を指先で押した。
「痛っ……」
これはナズちゃんによってロッカーに打ち付けられた時にできたものだった。
「って、いつ見たの!? ちょ、のぞき?」
「……バイトでTシャツの袖まくってたから」
あ……そっか。
この前キッチン手伝った時に、炭火で暑くて半袖を肩まで上げてたかも。