ぼくらのストロベリーフィールズ



どんよりとした空の朝、教室に入るとナズちゃんが泣いていた。



のばらちゃんに一吾くん取られた~友達だって信じてたのに~、と。



それを友達2人がなだめていた。


私の姿を見るなり、チラッとにらみつけてから。



昨日の夜、バイト先から一緒に帰るとこを誰かに見られたらしい。



確かに夜の繁華街を2人で歩くのは誤解を招くだろう。



でも、ナズちゃんたちは私と一吾くんが同じ店で働いているのを知っているはずだ。



ああ、始まるんだなと私は悟った。



同時に、この子は悲劇のヒロインになるのが上手いなぁと感心した。



ざわつく声たちをBGMに私は自分の席についた。


机の中には、汚い言葉が書き連なったプリントが詰め込まれていた。



もちろん嫌な気持ちになる。



でも、きっと大丈夫だ。



一吾くんが味方にいてくれる。



それだけで私は心を強く保つことができそうだ。





しかし――



その日はバイトを終えた後、寝る前に一吾くんと宿題をすることに。



「一吾くん、全然進んでないじゃんー」



彼はプリントが終わらないうちにタバコの箱に手を伸ばした。


次の期末で赤点にならないか心配だ……。



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