ぼくらのストロベリーフィールズ


しかも制服と髪が乾くまで授業をサボったら、先生に呼び出しを食らってしまった。



「最近、お前の生活態度、悪くないか? 授業のサボりも目立つし。友達が心配してたぞ」



「はぁ……」



「なんだその返事は? しかも勝手にアルバイトしてるって本当か? 本来だったら結構な問題だぞ」



あきれた目で私を見る先生は、厳しい口調で言葉をまくしたてた。


上手くナズちゃんたちにチクられたようだ。



「はい、すみません……」



今まで面と向かって先生に怒られた経験はなかったから、私は結構ショックだった。



先生に親が別居状態であることを話し、アルバイト許可申請をすることにした。



せっかくもらった初給料が、何となく後味が悪いものになってしまった。



「家がゴタゴタしてるならお前がもっとしっかりしなきゃだめだろうが。親も心配するぞ」



「そうですね。すみません。気をつけます」



とぼとぼと職員室を出て、教室に戻る。



ポケットの中ではスマホがひっきりなしに振動していた。



『JK? サポ希望ってこと?』


『どこ住み? 写真超カワイイじゃん。他のも送ってー』


『思春期の女の子っていろいろ大変だよね? 気になって連絡しました。僕でよかったら相談乗りますよ。あ、お金とかじゃなくて本気なので』



私のメアドがどこかにさらされたようで、知らない人からのメッセージがどんどん届く。



前髪をぐしゃっと握りながら、メールを削除しアドレス変更の画面を開いた。



これは私と友達の問題であって、自分でなんとかする。


そう決心したはずなのに。



嫌だ……苦しいよ……。



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