ぼくらのストロベリーフィールズ


『一吾ちゃん!』



病院前の横断歩道で、ちょうどユメナさんと心愛ちゃんに会った。


ご飯をおごってくれることになり、近くのファミレスに入った。



『この前は急にごめんね。あいつがいなくなるかもって思ったら、あたし怖くなっちゃって……』


『きゃっきゃっ』



何でも頼んでいいよと言われ、僕は遠慮なくステーキセットを注文した。


がっつりいくね~とユメナさんは嬉しそうにしていた。



心愛ちゃんもゴキゲンのようで、ユメナさんが1口大に切ったハンバーグを楽しそうに口にした。



『結婚するんすよね。おめでとうございます』



『そーなんだよねー。びっくりしちゃった。いきなりあいつ指輪買ってきてるんだもん。

んで、俺が無事帰ってきたら結婚しよ、とか言って急に出て行って。意味わかんないよねー』



グチを言いながらも、ユメナさんは幸せそうな顔をしていた。


この前の達也さんの食べっぷりを思い出した僕は、ご飯とお肉をもりもりと口にした。



『一吾ちゃんも早く好きな人できるといいね』


『……まあ』


『あははは! 大丈夫だよ。一吾くんかなりイケてるから。早く家出て自由になんなよ』



さらっとそう口にできるユメナさんは、強い人なのだと思った。


まああの達也さんの奥さんになる人だし。



『だぁーだぁーおやつぅー』



お子様プレートのプリンに手を伸ばす心愛ちゃん。


はいはい、ちょっと待ってねー、と言ってユメナさんはスプーンでそれをすくった。



僕もはるか昔、近所の女の子に恋したことはあった。


まあガキのころの気持ちなんて、おままごとのようなもんだろうけど。



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