ぼくらのストロベリーフィールズ
明日も学校のため、みんなはダラダラと帰っていった。
あ、尚紀くんにあれを渡さなきゃ!
みんなの前で渡すのは気がひけたので、ラインを送りエレベーター下で待ってもらうことに。
「ごめんね。帰んなきゃいけないのに。あの、これよかったらどうぞ」
1階のロビーで、初給料で買ったハンドクリームをプレゼントした。
「え? 何で? うそー!? ありがとう」
尚紀くんは驚いた後、頬を赤らめてお礼を言ってくれた。
うわ。こんなに喜んでくれるとは。
この前、先生に怒られたショックを忘れることができた。
「ほら、初めて給料もらったから、お世話になってる人にプレゼント、みたいな?」
私もつられて顔が熱くなってしまいそうだった。
「洗い物とかすると手がカサカサするじゃん? だから…………ひゃっ!」
早口で説明する私を尚紀くんはぎゅっと抱きしめた。
お酒が入っているからか、シャツ越しに触れる体温は熱かった。
「…………」
「えーと、尚紀くん?」
「あー……悔しいよねー。俺気づけなかったもん。この前のばらちゃんケガしてたの。教科書のこと知ってたのに」
尚紀くんのか細い声が降ってきた。
その優しさに胸が苦しくなる。