ぼくらのストロベリーフィールズ
☆
「昨日休んでたよねー? 大丈夫?」
「うん。ちょっと風邪気味だっただけで。もう治ったから!」
「心配したんだよ~? ラインも無視されるし~」
「ごめん。ずっと寝ててさー」
教室での彼女たちは、何もなかったかのように私に接してきた。
わざとらしい心配ぶりに頭が痛くなる。
休み時間に、保健室に行き頭痛薬をもらった。
次はパソコン室での授業。
教科書を取りにいったん教室に戻った。
「だいたい水かぶったくらいで風邪とかひいてんじゃねーよ」
「あれじゃね? 虚弱ぶりアピール!」
「うーわ。あいつならやりそうー。心配されたい系?」
他に誰もいなくなった教室で。
ナズちゃんたちは私の机の横でそんな会話をしていた。
ゴミ箱の中身を私の机に詰め込み、逆に机の中のものをゴミ箱に入れながら。
うわー。最悪……。
チャイムが鳴り、ばたばたと3人は教室から出て行った。
急いで廊下の柱に隠れた私に彼女たちは気づかなかった。ふぅ。
「……げっ!」
机の中に入っていたのは、まるまったティッシュやお菓子の空袋など。
顔をしかめながらそれらをゴミ箱に戻す。
頭痛がひどくなったことにして私は保健室に再び向かった。
大丈夫だ。
やっぱりショックな気持ちは薄れている。
逆に怒りがわいてきたくらいだ。