ぼくらのストロベリーフィールズ







「昨日休んでたよねー? 大丈夫?」


「うん。ちょっと風邪気味だっただけで。もう治ったから!」


「心配したんだよ~? ラインも無視されるし~」


「ごめん。ずっと寝ててさー」



教室での彼女たちは、何もなかったかのように私に接してきた。


わざとらしい心配ぶりに頭が痛くなる。



休み時間に、保健室に行き頭痛薬をもらった。



次はパソコン室での授業。


教科書を取りにいったん教室に戻った。



「だいたい水かぶったくらいで風邪とかひいてんじゃねーよ」


「あれじゃね? 虚弱ぶりアピール!」


「うーわ。あいつならやりそうー。心配されたい系?」



他に誰もいなくなった教室で。


ナズちゃんたちは私の机の横でそんな会話をしていた。



ゴミ箱の中身を私の机に詰め込み、逆に机の中のものをゴミ箱に入れながら。



うわー。最悪……。



チャイムが鳴り、ばたばたと3人は教室から出て行った。



急いで廊下の柱に隠れた私に彼女たちは気づかなかった。ふぅ。



「……げっ!」



机の中に入っていたのは、まるまったティッシュやお菓子の空袋など。



顔をしかめながらそれらをゴミ箱に戻す。



頭痛がひどくなったことにして私は保健室に再び向かった。



大丈夫だ。


やっぱりショックな気持ちは薄れている。


逆に怒りがわいてきたくらいだ。



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