ぼくらのストロベリーフィールズ



まぶしくて目をつぶった瞬間に、私の体は自由になっていた。



「え……?」



ドン! と倉庫が揺れる音がして顔を上げると、その男子は側面の棚に叩きつけられていた。


とっさにガードをしても、力強いパンチを頬に入れられている。



「うっ」



うめき声と同時に膝蹴りもくらい、よろりとその場に倒れこんだ。



さくっとそいつを倒したのは――



「ごめんねー遅くなって。のばらちゃん大丈夫だった?」


「尚紀くん……!?」



驚いている間に、「のばらー大丈夫か? って尚紀やるの早っ!」とヒュウガくんも倉庫に入ってきた。



そのままヒュウガくんは、いーもん見つけたーと言って、綱引き用の太い綱を手にした。



うずくまったその男子を綱でぐるぐる巻きにして、動けないようにした。


私はスマホを没収し、急いで写真を消去する。



「あ、ありがとう……助かったよ……っ。良かった」



息切れをしながら、2人にお礼を言う。



しかし、なぜか尚紀くんとヒュウガくんは顔を見合わせていた。



「のばらちゃん、もう1つ残ってるから。今日で全部決着つけよ」



扉からの光にピアスを光らせながら、冷静に尚紀くんはそう言った。


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