ぼくらのストロベリーフィールズ
『榊田くんってタメ? え!? 高校も一緒?』
『一吾でいーよ。あ、そっち持ってくれる?』
『はーい。んしょっと』
引っ越しバイトには、僕と同じく4月1日から働きだした同じ年の男子がいた。
尚紀という、見た目も雰囲気も男前なヤツだった。
タンスやベッドを運びながら、僕たちは仲良くなっていった。
尚紀からは、リーさんやゆーたさんのように、やんちゃなことをやり終えた匂いを感じた。
聞くと、予想通り中学時代は荒れていたとのこと。
『へ~、一吾もふりょーだったんだー。あはは、やっぱりー』
帽子の下でピアスを光らせて、尚紀は屈託のない笑顔を向けてくれた。
彼も家の生活費を稼ぐために働いていた。
僕はある程度稼がないと家具もろくに買えないため、しばらくバイトに専念してから学校へ行くことにした。
『じゃあ、俺は一足先に入学してくるわー』
『あ、1つお願いがあるんだけど』
僕はある女子生徒が高校にいるか、尚紀に確かめてもらうことにした。