ぼくらのストロベリーフィールズ
夜の暗い空気と冷たい風を浴びた瞬間、ほんの少しだけワクワクした。
高校生になって、
誰もいない家で真面目に生活しているだけじゃ物足りないし、
1人よりも、誰かと一緒にいる方がいい。
――ピンポーン。
一吾くんの家は、昔と同じで、家から徒歩5分のマンションの一室。
ここの部屋は彼のお母さんが所有している。
7年前に引っ越した後は、別の人に貸していたらしいけど。
「あ、のばらちゃんやっと来たー」
扉を開けてくれたのは、制服姿の尚紀くんだった。
玄関には、男物のスニーカーや革靴しかなく。
廊下を進むごとにゲラゲラとした笑い声が大きくなった。
「えっと、誰がいるの?」
「ん? バイトの人たち」
思わず、怯えた表情をすると、
「大丈夫。みんないい人だから」と尚紀くんは微笑んだ。
キッチンの横を通ったが、冷蔵庫とレンジが置かれているだけで調理用具はなく、
中身がつまったゴミ袋が転がっているだけだった。