ぼくらのストロベリーフィールズ
期末テストを終え、夏休みを控えたある日、いいことがあった。
昼休み。中庭で1人パンを食べている時。
「あの……ずっと私、菜月さんと話してみたくて」
「私も。ごめんね今さら! あのグループって話しかけづらい雰囲気あったから……」
更衣室でナズちゃんにぶつかったあの女子が、話しかけに来てくれたのだ。
もう1人クラスの女子を連れて。
「え。本当? わー! ごめん、今すごいびっくりしてて。上手く話せないかも!」
私は慌てながらも、嬉しくてちょっと泣きそうになった。
2人は規則の厳しい中学出身で、
本当はメイクとかおしゃれとかしたいけど上手くできなくて……と言った。
「まじ? じゃあ一緒に選びに行こうよ! 安くて可愛い色のとかあるし」
「本当ー? 嬉しい! あ、のばらちゃんって呼んでいい?」
「もちろん! 私は何て呼んだらいい~?」
顔を見合わせ笑顔になった2人を見て、私はワクワクした。
放課後。ドラッグストアに行き、試供品でコツを教えると2人は喜んでくれた。
それからカフェに入っていろいろと話した。
楽しい生活を送りたいのに、クラスの雰囲気が悪くて嫌だった。
のばらちゃんが可愛そう、じゃなくて、普通に仲良くなりたかった。
彼氏が急にカッコよくなって、私も自分を磨いてみたい。
この子、もう2年以上も付き合ってるんだよ。
とか。いろいろ。
芯がしっかりしている印象の2人だった。
世間話も恋バナも内容が新鮮で、素直に面白かった。
「ごめんね。のばらちゃんが無理してるの分かってたけど、何もできなくて……」
「いやいや! あれは私にも原因あったし。そう思ってくれるだけで嬉しいよ!」
この子、わざとナズちゃんにぶつかったり、更衣室に戻ってきたのかな、なんて。
まさかね。