ぼくらのストロベリーフィールズ
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★
びっくりした。
空き巣が彼女の家に入り込んでいたのはもちろんだけど。
『一吾くんが無事で良かった……』
助けた後、彼女はなぜか僕の心配をしていたから。
危なかったのはそっちだったくせに。
僕のために泣く理由がわからなくて、怖かった。
なぜか無理やりキスまでされたし。
普通は、何も盗まれなくてよかった、襲われなくてよかった、とか。
または、空き巣に入られたという事実を利用して、誰かに慰めてもらったり、同情をしてもらったり……ではないのだろうか。
『助けてくれてありがとう、のキス』
そう言われて、やっと僕は気がついた。
今、隣にいるのは母ではなく、のばらであることが。
ぎゅっと胸が苦しくなり、のばらを自分のものにしたいという衝動が僕を動かした。
初めて僕が、自分から唇を求めた瞬間だった。
これが好きという感情なのだろうか。