ぼくらのストロベリーフィールズ




『のばらちゃん、いじめられてるっぽいんだよねー』



引っ越しバイトの休憩中、尚紀がそうつぶやいた。



聞くと、ボロボロの教科書が捨てられていた、とのこと。



『そんなん犯人見つけてシメちゃえばいいじゃん』



『いやいや、女子のいじめって怖いらしいから。下手したらもっとヤバいことされるかも』



僕も尚紀も、女子と遊ぶことはあっても仲間としてつるんだことはなく、イメージがよくつかめなかった。



しかし、居酒屋でのバイト中、彼女の肩にあざを見つけた。



Tシャツの袖から少しはみ出ていただけだったけど、すぐに気がついた。



僕は、母の肩にあった赤紫色のあざを思い出した。



のばらも同じような目にあっているかと想像すると、犯人を捜して半殺しにしてやろうと思ったけど。



もう1つよみがえったのは、


あのクズ男を殴ろうとした時、僕の右手に食らいついてきた母の感触だった。



肘や膝にも傷を見つけ、僕は彼女を問い詰めたが、


『ごめん、まだほっといてほしい。自分で何とかしたいから』


と言われてしまった。



どうしたらいいか分からないままに、彼女は学校を休んだ。



僕は勉強を教えてもらう名目で、准クンに遊びに来てもらうことにした。


彼は男女どちらとも上手く関係を築けるタイプだ。



連絡するとすぐ僕の家に来てくれて、予想通りのばらともすぐ打ち解けていた。



< 274 / 315 >

この作品をシェア

pagetop