ぼくらのストロベリーフィールズ

10-1








再び一吾くんと連絡が取れなくなってしまった。



前に彼から聞きだした実家の電話番号にかけても、


『申し訳ございません。本日は休業日となります』


という、一吾くんの母らしき機械的な声しか聞こえなかった。



准くんに連絡しても、『電話出ないし、家行ったけど誰もいなかった……』とのこと。


彼の身に何が降りかかったのか、気が気でたまらなかった。



一吾くんが行ってしまった日、


私の父と母は数か月ぶりに対面し、色々と話し合いをした。



母は泣きながら父に浮気を謝り、もう一度チャンスを下さいと言って頭を下げた。



『もうすぐ今の仕事がひと段落するから、出張は少なくなる』



父はそう言った後、ビールを一口飲んでから、


『それでも他の男と2人で会うことがあれば、その時は離婚しよう』と続けた。



もちろん母は号泣し、気がつくと私も頬に涙が伝っていた。



母は家に戻って来ることになった。



私はもう、一吾くんの家に泊まらなくても大丈夫だ。



これで普通の男子と女子として、


彼と向き合うことができるようになったのだ。


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