ぼくらのストロベリーフィールズ
10-1
☆
再び一吾くんと連絡が取れなくなってしまった。
前に彼から聞きだした実家の電話番号にかけても、
『申し訳ございません。本日は休業日となります』
という、一吾くんの母らしき機械的な声しか聞こえなかった。
准くんに連絡しても、『電話出ないし、家行ったけど誰もいなかった……』とのこと。
彼の身に何が降りかかったのか、気が気でたまらなかった。
一吾くんが行ってしまった日、
私の父と母は数か月ぶりに対面し、色々と話し合いをした。
母は泣きながら父に浮気を謝り、もう一度チャンスを下さいと言って頭を下げた。
『もうすぐ今の仕事がひと段落するから、出張は少なくなる』
父はそう言った後、ビールを一口飲んでから、
『それでも他の男と2人で会うことがあれば、その時は離婚しよう』と続けた。
もちろん母は号泣し、気がつくと私も頬に涙が伝っていた。
母は家に戻って来ることになった。
私はもう、一吾くんの家に泊まらなくても大丈夫だ。
これで普通の男子と女子として、
彼と向き合うことができるようになったのだ。