ぼくらのストロベリーフィールズ
家の中が汚い、食材が何もない、洗濯物たまりすぎ、とか。
母が家を元に戻すのに奮起になり、また父も次の出張まで日数があったため、
それから数日間は家族3人で朝を迎えた。
「のばら! 起きなさい!」
「はーい」
「父さんも! 朝ごはん食べれなくなるよ!」
「はーい」
1階から聞こえる母の声が、懐かしくて。
でも、もう目は覚めているのに……とちょっとイラっとして。
お父さんもまだ起きていないんかい! と突っ込みたくなって。
そうだ。
これが私の家だった。
「のばらー、卵も牛乳も賞味期限切れてたよ。もう!」
「はーい。すみませんー」
「まあまあ、朝からぴりぴりしないで。ほら朝ドラ始まるぞー」
ごはんと味噌汁、納豆入りの卵焼きとサラダ。
簡単に作れそうなメニューだけど、
やっぱり私が作るものよりも美味しかった。
「のばらちゃん、おはよー」
「おはよー。わ~髪ちょっと染めた? 可愛いよ~」
「本当? 初めてだったから不安で……良かったぁ!」
新学期が始まり、新しくできた友達と一緒に教室へ向かった。
ナズちゃんたちは再び3人でつるみ出していた。
孤立したままだと色々不都合だったり、男を紹介してもらったり、きっとそういう理由なんだろう。
もちろん私とは一切目を合わせない。
だけど、教室に入るのは全く苦にならなくなった。