ぼくらのストロベリーフィールズ






あんまり煮込めなかったから、味に深みが出なかったかも。



私はまかないを食べてきたため、一人前だけを作った。


余った固形ルーは持ち帰るしかないか。



「どう?」


「美味しいよ」


「うそだー! 前作ったのよりも微妙でしょ?」



具材は玉ねぎとじゃがいもとお肉だけ。


しかも、ご飯はやっぱりレトルト。



私は向かい側に座って、無表情のままスプーンを進める彼を見つめた。



「おかわりは?」


「…………」


「食べなよ。余っちゃうし。今日何も食べてないんでしょ?」



そう伝えると、何の感情も宿していない瞳が私に向けられた。


構わず私は笑顔を作り、彼を見つめた。



「……じゃあお願い」



うつむきながら、彼――一吾くんは、私に皿を出してくれた。


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