ぼくらのストロベリーフィールズ
☆
あんまり煮込めなかったから、味に深みが出なかったかも。
私はまかないを食べてきたため、一人前だけを作った。
余った固形ルーは持ち帰るしかないか。
「どう?」
「美味しいよ」
「うそだー! 前作ったのよりも微妙でしょ?」
具材は玉ねぎとじゃがいもとお肉だけ。
しかも、ご飯はやっぱりレトルト。
私は向かい側に座って、無表情のままスプーンを進める彼を見つめた。
「おかわりは?」
「…………」
「食べなよ。余っちゃうし。今日何も食べてないんでしょ?」
そう伝えると、何の感情も宿していない瞳が私に向けられた。
構わず私は笑顔を作り、彼を見つめた。
「……じゃあお願い」
うつむきながら、彼――一吾くんは、私に皿を出してくれた。