ぼくらのストロベリーフィールズ


「最近バイト大変なんだよ? 一吾くんいないと一気に忙しくなるしー」


「別に。他のバイトもいるでしょ」



「あと、尚紀くんやヒュウガくんたちも寂しがってたよ。後で連絡しときなよー」


「なにそれ。何日か休んだだけじゃん」



洗い物をしている隣で、一吾くんは換気扇を回しタバコを吸っている。



「…………」



次にどんなことを話しかけようか考えている間に、


一吾くんは吸い終えたタバコを空き缶に放った。



「手伝おっか?」


「え。じゃあ洗ったの拭いてくれる?」



あ……手伝ってくれるの、珍しいな。



バイトでもキッチンに入っているし、実は私よりも手際が良い一吾くん。



皿やスプーンの水滴が、次々とふきんで拭き取られていく。



ルーがこびりついた鍋に苦戦していると、


彼は「交代」とつぶやき、私からスポンジを取り上げた。


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