ぼくらのストロベリーフィールズ
じっと一吾くんの綺麗な横顔を見つめ続ける。
ようやく視線を向けてくれた時、私は目を閉じた。
どくん、どくん、どくん。
喉の奥から全身に向けて、心臓の音が広がっていくよう。
何もないまぶたの裏側に、蛍光灯の残像だけが残る。
「……っ」
頬に感じた冷たい指の感触が、火照った体に気持ちがよくて。
きゅっと全身で鼓動を打つように、体が一瞬だけ震えた。
しかし。
「いたっ!」
その指は、私の頬をぎゅっとつまんだだけだった。
目を開けると、
「スプーン持ってくる」と言って、彼は立ち上がっていた。
ごそごそと段ボールの1つを探る姿を見ながら、私はぐっと両手を握っていた。
行き場のない彼への愛しさが、涙となりあふれ出しそうになる。
ちくしょう。
ここまでしても、やっぱりダメなの!?
「もう!」
私はムースの封をべりっと勢いよく開けた。
そして、上に乗っかっている赤いイチゴに手を伸ばした。