ぼくらのストロベリーフィールズ
やっぱり私バカにされてる? と言いそうになったけど。
尚紀くんはいつの間にか真剣な目で私を見つめていた。
私も心を落ち着かせ、尚紀くんを見据えて口を開いた。
「でも、たぶん私、フラれてるんだと思う。一吾くんに」
「へ? そうなの? 告ったの?」
「ううん。上手く言えないけど……一吾くんは恋愛が分からないんじゃないかなって」
一口コーヒーを飲んでから、「まぁ、いいんだけどね」と私は続けた。
尚紀くんはしばらく黙った後、ふっと口角を上げた。
「そういえば。あの言葉に続きあるの知ってる?」
「え? ニッチェじゃなくて、ニーチェ先生じゃなくて、何だっけ?」
「あはは! ニーチェね。結構有名な人だよ」
「知らないって。もう~今日これ以上私を混乱させないでよー」
がしがしと頭をかくことしかできない私。
しかも、そういうとこが好きなんだよねー、とつぶやかれ、更に頭の中が爆発しそうになった。