ぼくらのストロベリーフィールズ







ある日、ナズちゃんに話しかけられた。



「のばらちゃん、また仲良くしない? 一吾くんもいなくなっちゃったし」と。



取り巻きの2人も、「合コンの時とか、のばらちゃんいた方が盛り上がるんだよねー」

と薄っぺらい笑顔を私に向けた。



意味が分からなかった。


もうチャラにする気だろうか。



「いいよ、なんて言えるわけないじゃん」とはっきり伝えると、ギロリと3人からにらまれた。



「ナズに暴力ふるったこと忘れたの~?」


「それはもう終わったことでしょ?」


「うざー! やっぱ調子乗ってるんじゃね?」



もういいよ……。


やっぱりナズちゃんたちと話すの、疲れるよ。



はぁ~とため息を吐いた時、


「のばらちゃーん! おいでー!」と呼ぶ明るい声がした。



振り返ると、仲良くなった女子2人と、サトゥーくんの友達の男子2人が、手招きをしていた。


その男子2人はニヤニヤした目でナズちゃんたちを見ている。



「やっぱかかわらない方がいいんじゃね?」という声を後ろに、私はみんなのもとへ走った。



ナズちゃんたちとのことは、しこりになっているけど。


クラスに味方がいることを実感すると、本当に嬉しい。



気が合う友達とつるむことは、楽しくて、いい意味で楽だった。



でも、一吾くんと一緒に高校生活を送れなくなったという事実は、私の心にぽっかりと穴をあけた。



彼は、高校を退学した。



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