ぼくらのストロベリーフィールズ
☆
ある日、ナズちゃんに話しかけられた。
「のばらちゃん、また仲良くしない? 一吾くんもいなくなっちゃったし」と。
取り巻きの2人も、「合コンの時とか、のばらちゃんいた方が盛り上がるんだよねー」
と薄っぺらい笑顔を私に向けた。
意味が分からなかった。
もうチャラにする気だろうか。
「いいよ、なんて言えるわけないじゃん」とはっきり伝えると、ギロリと3人からにらまれた。
「ナズに暴力ふるったこと忘れたの~?」
「それはもう終わったことでしょ?」
「うざー! やっぱ調子乗ってるんじゃね?」
もういいよ……。
やっぱりナズちゃんたちと話すの、疲れるよ。
はぁ~とため息を吐いた時、
「のばらちゃーん! おいでー!」と呼ぶ明るい声がした。
振り返ると、仲良くなった女子2人と、サトゥーくんの友達の男子2人が、手招きをしていた。
その男子2人はニヤニヤした目でナズちゃんたちを見ている。
「やっぱかかわらない方がいいんじゃね?」という声を後ろに、私はみんなのもとへ走った。
ナズちゃんたちとのことは、しこりになっているけど。
クラスに味方がいることを実感すると、本当に嬉しい。
気が合う友達とつるむことは、楽しくて、いい意味で楽だった。
でも、一吾くんと一緒に高校生活を送れなくなったという事実は、私の心にぽっかりと穴をあけた。
彼は、高校を退学した。