ぼくらのストロベリーフィールズ



木々は色を失い始め、茶色に染まった葉っぱが空を舞っていた。



ポケットに手を入れながら、河川敷の横を進む。


ああ、このへん懐かしいな。



小学校の頃、ショボい男子たちにやられたり、


夜中にみんなで花火して騒いで補導されたり、


ボコボコにされていた達也さんを助けたり。



カンベツ(少年鑑別所)には行きましたけど、ネンショー(少年院)にはぶち込まれずに済みました、

ってみんなに報告だけでもしようかな。



まずは、准クン、達也さん夫妻、ゆーたさんとリーさん、


あとは、尚紀やヒュウガくんにサトゥーくん。



そして――



もう1人、僕は一番大切な人を思い出し、胸が張り裂けそうになった。



彼女は僕とはもう会わないだろう。


僕のことを軽蔑しているだろう。



やるだけやった後、思いっきり冷たくしてしまったんだし。



それでいい。


僕とかかわらない方が、きっと彼女は幸せになれる。




そう、思っていたのに。




「一吾くん」




なぜか、家の前に彼女は、いた。



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