ぼくらのストロベリーフィールズ
☆
「映画、良かったねー。私、涙止まらなくてやばかった~」
「そう? 何か最後とか、いかにも泣かせようとしてる感じだったじゃん?」
「もう! 感動してる人にそういうこと言わないでよ!」
今日は土曜日。
一吾くんの昼のバイトが休みのため、久しぶりにデート中。
映画館を出て、私たちは手をつなぎショッピング街を歩いた。
あくびをしながら歩く一吾くんは、前よりも背が伸びた気がする。
顔立ちも大人っぽくなり更に格好良くなった。
ちらっと通りすがりの女の子から視線を向けられるほどに。
「それにしても居酒屋復帰できて良かったねー。あそこ時給いいし」
「まあね。義理堅い店長で良かったかも」
デート後には、一緒にあの居酒屋バイトに行く予定。
店長はなんだかんだ言って、一吾くんのことを気に入っているっぽい。
バックレ状態だった一吾くんを再びシフトに入れてくれた。
スマホを見ると、まだ午後2時。
バイトまで結構時間がある。
「どうしよっか。私、冬服ちょっと見たいかもー」
「は? また買い物? すぐ決めれんならいいけど」
機嫌の悪そうな声をかけられつつも、つないだ手は離れない。
一吾くんはあまりファッションに興味がないらしいけど、シンプルな服装は彼に似合っていて私は好きだった。
というより、一吾くんのことが大好きだ。