ぼくらのストロベリーフィールズ
頭がくらっとして、後ろに一歩よろけそうになる。
と同時に。
「のばら」
彼の優しい声が私を包んだ。
「え」
戸惑う私をよそに、
彼のひんやりとした右手に、左手が包み込まれていた。
「一緒に帰ろう」
ぼそりと言葉を発し、一吾くんは私をもと来た道へと引っ張ってくれた。
「…………」
彼の手は冷たかったけど、その言葉は温かかった。
一歩、一歩、家を離れるごとに、繋がれた部分は次第に熱を帯びていった。