ぼくらのストロベリーフィールズ






再び戻った一吾くんの家。


さっきは空き缶やゴミでいっぱいだったから気にならなかったけど、

家具はほぼなく、部屋の隅に畳まれた服や布団があるだけだった。



「あはは、片付けると何も無いね」


「ん。バイト代もうすぐ入るし、そしたら色々買ってくよ」



がらんとした部屋に2人きり。



改めてそう思うと、心臓がバクバク鳴って、緊張する。


でも家には帰りたくなかった。



きっと母は、私はすでに自分の部屋で寝ていると思っているのだ。


隠れていちゃつくくらいなら、もう朝まで帰ってこなくてもいいのに。



とりあえず床にぺたんと座った。



「や、最近お母さんが夜遅くてねー。やっぱりって感じ?」


「…………」


「いやーさすがに現場見たのはショックだな〜」



そう言うと、一吾くんはゆっくり私に近づいてきた。


そして、私の正面にあぐらをかき、無表情のまま口を開いた。



「お父さんは?」


「出張でしばらく帰ってこない」


「じゃしばらくおれの家にいれば?」


「えっと……」



それは、『今日は』ってこと?


それとも『これからも』ってこと?



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