ぼくらのストロベリーフィールズ
☆
「ねーねー見た? A組に超好みの人いたんだけど! 何か事情があって昨日から学校来てるらしくて」
次の日。
母にバレないよう早朝に家に帰り、いつも通り学校へ行くと、
興奮した様子でそう話す、ナズちゃんの姿があった。
「あ、うちも見たー。金髪の人でしょ? ちょっと怖そう……」
「えーそこがいいんだって! 顔もすげー綺麗だし! まじやばすぎ!」
「でも……早速、A組の誰かのことシメたんでしょ?」
朝からキャピキャピと話す女子たちのはじっこで。
早速、一吾くんの存在がナズちゃんに知られてしまったようで、
私は心をざわつかせていた。
「ねー聞いたよ~、のばらちゃんの知り合いなんでしょ?」
ギクーッ!
「知り合いっていうか、昔、家が近所だっただけだしー」
「ナズも仲良くなりたーい。のばらちゃん紹介して~」
「あ、あははー」
笑ってごまかしたところで、
ちょうど先生が教室に入ってきてくれたため、この場は解散になった。
これ、絶対言えない。
昨日、一吾くんのうちに泊まったとか、絶っ対言えないって!
てかナズちゃんの推しメンって、尚紀くんじゃなかったっけ?
めんどくさいことにならなきゃいいんですけど……。