ぼくらのストロベリーフィールズ
「…………」
買ったばかりのテーブルで一緒に食べ始めた。
一吾くんは、無言でそれを次々と口にする。
「ど、どうっすか?」
「まあまあ。尚紀がバイトのとき作ってきてくれた弁当の方が美味いかも」
「う……」
確かに、肉は少ないし、あんまり煮込まなかったし、しょうがないか。
と思いつつ、少ししゅんとしてしまう私。
「でも作ってくれたのは嬉しい。またよろしく」
そう言って、彼は空になったお皿をテーブルに置いた。
そういえば、一吾くんは夜お母さんがいないこと多かったから、
こういう風に家でご飯を作ってもらうこと、あまりなかったのかな。
私の家でよく一緒に食べてたくらいだし。
私も一人っ子で、中学に上がる前まで母は専業主婦だったから、
誰かに料理をふるまうことは初めてだった。
褒められたわけじゃないし、ただお腹がすいたから全部食べてくれただけかもしれないけど。
きっとまた私は、ここで一吾くんのご飯を作るんだろうな。