ぼくらのストロベリーフィールズ
☆
向かい側の席には、別の高校の制服を着た男子たちが並んでいる。
場を盛り上げようと軽い話題が飛び交い、
女子たちも普段よりもワントーン高い声でそれに応えていた。
今日は、ナズちゃん主催の合コン的な集まりinファミレス。
一吾くんや尚紀くんという、ある意味完成されたイケメンを見慣れてしまったからだろうか。
目の前の男子たちは、話し方やノリはもちろん、髪形や制服の着こなしも全て背伸びしすぎに思えてしまい、
私は微妙に冷めてしまっていた。
「うちもその映画、気になってたんだー」
「まじ? 今度一緒に行かない?」
でも、ちょうど友達の1人と相手の男子が、いい感じになっている。
まあまあこの会は成功なのでは?
「なんかイマイチー。いい感じの人集めてってお願いしたのにー」
鏡に映るナズちゃんは、そう言って色付きグロスを唇にのせている。
「まあねー。みんな高校デビューくさい気するね」
「でしょ!? さすが! やっぱのばらちゃんは合うわ~」
いつもと左右逆のナズちゃんは満足そうな笑顔を浮かべていた。
「今度、一吾くんとの合コンセッティングしてよー」
「うーん。一吾くんそういうのあんまり興味なさそうだし……」
「そこを何とかさー!」
きっとトイレでこんな会話をしているとは知らず、みんな楽しく話したりライン交換したりしているんだろう。